新しいグラブが海を越えて届いた

壁に向けて投げ続けていた。毎日。独りで。

 

 

 

記憶がまるでないのだが、幼少の頃に、とてつもない勉学の才覚を示したようで、

それに驚いた両親は中卒・高卒という学歴コンプレックスもあってか、無理をして私を私立の小学校に入学させた。

(正確に言うと、親類縁者の伝手を辿ったのだが)

 

6歳の子供が毎日、制服を着て、バスに乗り、電車に乗り、通学する。

 

「もっと勉強しなさい。」

「あなたは頭が良いのだから。」

「もっと勉強しなさい。」

「あなたは頭が良いのだから。」

「もっと勉強しなさい。」

「あなたは頭が良いのだから。」

「もっと勉強しなさい。」

 

 

 

自分は、、

 

 

野球選手になりたかったんだよ。母ちゃん。

 

 

 

 

私立通いという特殊性ゆえ、近隣にひとりの友達さえいなかった。

 

野球チームの遠征バスに乗る近所の子を羨ましく眺めていた。

 

 

結果、わたしは毎日の帰宅後、壁に向かって球を投げ続けた。

 

独りで。

 

 

最初はグローブも球も買ってもらえず、石ころを投げていたんだ。

本や文房具は買ってくれたけど。

 

 

いつしか、コンクリートの壁は一点が白くなり、すり鉢状になった。

 

ずっとずっと投げ続けた。

 

 

 

 

 

今でも野球が好きなんだ。

そろそろプロ志望届を出さなきゃ。